大判例

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東京高等裁判所 昭和46年(行ケ)95号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕二 原告は、本件審決にはその主張の点に判断を誤つた違法がある旨主張するが、右主張は理由がない。すなわち、引用例中に本件審決認定のとおりの記載があることは、原告の認めて争わないところ、原告は、本件特許発明は、引用例記載の特許発明よりもすぐれた効果を有するものである旨主張する。しかし、右争いのない引用例記載の事実に<書証>によれば、本件特許発明と引用例記載の特許発明とは、ともに磁性体を利用した移動体浮上装置に関するものであり、両者は、その構造およびその構造に示された技術思想を同じくし、目的、効果を異にするものではないと認められ、本件特許発明に原告主張のような顕著な効果が存する事実を認めるに足りる証拠はない。

三 したがつて、右の効果が存することを前提に、本件審決が本件特許発明における特性を誤認した違法があるとして、その取り消しを求める原告の本訴請求は、理由がない。

よつて、原告の請求を棄却し、主文のとおり判決する。

(青木義人 石沢健 宇野栄一郎)

<注>一 特許庁における手続の経緯

原告は、昭和三七年七月二日出願、同年同月一七日出願公告、同三九年一二月二八日登録にかかる名称を「移動体浮上装置」とする特許第四三六三四四号(以下「本件特許」という。)の特許権者である。被告は、昭和四五年八月二六日、原告を被請求人として、特許庁に対し本件特許について登録無効の審判を請求した(昭和四五年審判第七四三五号事件)ところ、特許庁は、昭和四六年六月一四日、本件特許を無効とする旨の審決をし、その審決の謄本は、同年八日九日、原告に送達された。

二 本件特許発明の要旨

移動体と該移動体進行予定コースにそれぞれ互に反撥し合う対向関係を持して磁性体を取付及び敷設し、しかしてこのように対設した両磁性体の反撥作用で移動体を空間に浮上せしめると共に該移動体の行路に沿つて適当な案内を附与したことを特徴とする移動体浮上装置。

三 審決理由の要旨

本件特許発明の要旨は、前項掲記のとおりであるが、英国特許第八六七〇四五号明細書(以下「引用例」という。)には「軌道、前記軌道と共働するよう配置された車両、前記軌道内と前記車両上とにそれぞれ互に反撥し合うよう対向関係を持して敷設および取付けられた磁性体、および前記軌道に設けられ、その長さ方向に延びた車両案内部材とからなる移動体浮上装置」に関する発明が記載されている。而して、本件特許発明と引用例に記載された発明とは、共に移動体浮上装置に関するものであり、しかも、後者は前者の構成要件のすべてを具備し、さらに、目的、効果の点においても両者は一致している。そして、引用例が本件特許出願前に頒布された刊行物であることは明らかであるから、本件特許発明は、特許法二九条一項三号に該当するものであつて、同条柱書の規定に違反して特許されたものである。それ故、本件特許発明の特許は、特許法一二三条一項一号の規定に該当し、無効である。

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